世間知らずな私の話

最近の私は、早く社会人になりたくてうずうずしている。6年間も大学生として過ごしたのだから、もうそろそろ卒業しても良い気がするのだ。

 

しかし、私は社会人としてやっていけるのか、という不安もある。今までいくつかバイトをしたが、どれもこれもろくに働けた試しがない。バイトにおいて、3大よく言われることは「君は世間知らずだ」と「このままじゃ社会に出ても困るぞ」と「そろそろこの仕事覚えて」である。

私が世間知らずであることはこの私が一番分かっているのだが、肝心な世間の常識というものが分からない。みんなは、世間の常識をどこで勉強しているのだろう。義務教育は人並みに受けてきたし、友達が全くいないわけでもないのに、私はその辺のバイトをしたことがない友人よりも、世間を知らないのだ。

そう思って、常識を勉強しようとしたが、まず常識という教科の勉強の仕方が分からない。とりあえずパソコンを開き、「世間の常識」と検索をかけたが、漢字の読み方や簡単な計算などの試験問題が出てきた。残念ながら、私が知りたい常識はこれではない。

ここで、重要なことに気付いた。私が分からない常識が、何か分からないのだ。

恐らく意味が分からないだろうが、なぜか上手く説明できない。強いて言うなら、突然「物理Ⅱの範囲で分からないところある?」と聞かれた状況と同じような気がする。そもそも物理Ⅱって何?って感じだし、その教科がどういう内容かも知らないので、分からないところが分からないというか。

これでは勉強が進まない。常識を勉強するという考え方自体も違う気がするが、社会の常識集とかいう参考書でも発売されない限り、私の世間知らずは直らないと思った。

百科事典を買おうかと本気で考えたが、そもそも私の求めている常識は、百科事典や参考書なんかには載っていない気もする。

一体、義務教育は何をしているのだろうか。私は何のために学校へ行っているのだ。学校では漢字の書き取りや計算や歴史は嫌でも勉強させられるのに、人として本当に必要となる社会の常識については一つも触れていないじゃないか。

と昔から思っていたが、大人になった今でも、社会の常識が分からないままだ。社会の常識は、社会に出れば分かるようになるのだろうか。一つ言えるのは、常識とは勉強するものではなく、身につけるものなのだろう。おそらく、参考書や百科事典で学べるものではなく、上司に怒られたり仕事で失敗したりといった、経験で知っていくのかもしれない。

こんな未熟な私に、社会の常識を教えてくれる優しい大人がいるのか分からないが、上司に怒られてペコペコしながら働くOLを夢見ている毎日である。