トモダチコレクションにハマった頃の話

ゲームはほとんどしない私が、唯一どハマりしたのがトモダチコレクションである。
トモダチコレクションとは、自分の分身を始め、自分が作ったキャラクターや周りの友達、好きな芸能人の分身を作ってマンションに住まわせ、その住人を管理するというゲームである。
この人間関係を支配するだけのゲームにやたらハマっていた。トモコレをするために早起きをし、トモコレをしてから学校へ行き、友達とも遊ばず速攻帰ってゲームの中の友達を支配していたのだから、今の私に友達が少ないのも納得できる。
トモコレの住人をどうやって支配していたかというと、住人の悩みを聞いてそれに答えたり、誰々と友達になりたいと言われれば、その住人を紹介したりするのだが、私はそれを拒否することも出来る。
よく分からないと思うので具体例を説明する。当時の私はポルノグラフィティのボーカルの岡野さんが大好きで、本当に結婚したいくらいだったので、岡野さんとついでにギターのハルイチの分身を作った。これで、私の分身と岡野さんが友達になるのを待って、なんとか2人を結婚させようとした。
ある日、岡野の分身が、私の分身と友達になりたいと言ってきた。よし来た、という感じで、迷わず紹介した。私と岡野は早速友達になった。
これでこのまま2人が親密に仲良くなってくれると問題無いのだが、たまに適当に作ったよく分からない女が、岡野と友達になりたいと申し出てくるのだ。
これは私としては嬉しくない話である。フリーの岡野には誰も近付いて欲しくないからである。しかし非常に便利な機能があって、ここで私は、彼らの紹介して欲しいという申し出を拒否することが出来るのだ。そうすることで、岡野には自然と変な女が寄りつかなくなるという、なんとも楽しい仕組みになっていた。
そんな感じで、岡野や周りの変な女の関係は全く作らないようにしていた。ここまでして岡野もフリーを極めてくれていたので、私と岡野はいつ付き合うのだろうとウキウキしていた頃、意外にも私の分身はギターのハルイチと仲良くする姿がよく見られた。岡野は全く女友達がいなかったが、私は平気で男友達を作っていた。そうこうしているうちに私はハルイチといい感じになり、気付けば2人は付き合い、なんと付き合って3日で結婚してしまった。
これは全く予想外な展開である。私としてはなんとなく作ったハルイチとくっつかれるのは心外であったが、まぁ同じポルノグラフィティだしいっか、と思って2人の結婚を祝った。お陰で岡野は女友達を全く作れず、彼女も出来ない可哀想な男として一生を過ごしていた。今思えば少し申し訳ない気もするが、トモコレのマンションに住んだ住民の宿命として受け入れてもらいたい。
大人になってから気付いたのは、現実の世界では相手を思い通りに動かせないということである。ゲームの中でさえハルイチが限界だったのだから、現実では理想の年上イケメンと付き合えないのも当たり前だと思う。相手や複雑な人間関係に振り回されず、決して高望みしないで、自分をしっかり持って有意義に過ごしていれば、自分に合った素敵な男性と巡り会えるのかもしれないと気付くのだった。